かわいい戦争
体力的には4人が特に疲れてるはずなのに元気だなぁ。
わたしが仲裁すべき?
……できる自信がない。
まろんちゃんと一緒に当惑していると、無駄に柔らかいお腹に璃汰の腕が巻きついた。
「……海鈴、あたしうまくやれてた?」
わたしの肩に璃汰の額がひっついてるせいで表情を覗けない。
アイドルのスイッチが切れた途端、ネガティブになっちゃったの?
「うん、うまくやれてたよ。璃汰が伝えたかったことは全部伝わった!」
大丈夫。
たぶん画面の向こうのファンも、リタと約束を交わしたよ。
安心させたくて抱きしめる。
ぎゅっとしたら、ぎゅっとされた。
「璃汰」
「……何?」
「今日は一緒に帰ろ?」
本当はレッスンに行かせたかった。
そのために助けに行った。
だけどそのボロボロの体で無茶させたくない。
「あたしはレッスンに行くわ」
間髪入れずに首を振られた。
上げられた顔を見ればわかる。
本気でレッスンしようとしてるんだ。
「その体で?無理は禁物だよ!」
「平気だってさっきも言ったでしょ」
嘘。
今わたしに体重を預けてるのは、平気じゃないからでしょ?
その状態でレッスンして倒れたらどうするの。