かわいい戦争



「うーん、俺はこっちのほうが好みかな~」



手のひらを合わせただけでいっぱいいっぱいだったのに、さらっと指を絡めてきた。


こ、恋人つなぎ……!




「ひぇっ」


「……え、なんで悲鳴?嫌だった?」


「まさか!嫌じゃないよ!嫌じゃ、ない、けど……」


「けど~?」


「……あ、あの、えっと……お、恐れ多くて……」




未來くんと付き合って、約3か月。

恋人つなぎをしたのは何も初めてじゃないけれど、何回目だろうが慣れない。


さっきまでとは別の意味でドキドキしてる。



「ははっ、かわいいなぁ」



未來くんがかっこよすぎるんだよ!!



「恐れ多くならないでよ~」


「だ、だって……」


「海鈴ちゃんは俺の彼女でしょ?」



俺の、彼女。

カノジョ。


脳内でエコーがかかって、ぼふっと爆発したみたいに顔が火照る。


いつものメイクとマスクの仮面をしていても、彼氏の前じゃ赤味が際立つだけ。



「手ぇ握っただけでそうなるんなら、これ以上のことしたらどうなるんだろ~ね~」



絶対にいじってる!

フェロモン全開でそんなこと言わないで!!


耳の裏まで熱がこもってきた。


心臓が持たないよ。

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