かわいい戦争
母親の存在に狼狽える璃汰は、授業参観日の子どもみたいでなんだか愛おしい。
璃汰にとって今日は2つの意味で大事な日なんだね。
「リンカさんも楽しみにしてると思うよ」
璃汰の白くて綺麗な手を握り締めた。
右と左、交互に指を交えて。
ぎゅうっと。
両方の手のひらに帯びた温もりが、緊張をほぐしていけばいいな。
「だから璃汰も楽しまなくちゃ。璃汰の気持ちも居場所も、リンカさんにぶつけちゃえ」
嬉々として笑えば、つられて璃汰も微笑む。
こつんと額と額が触れる。
「そうよね。せっかくのデビューイベントなんだもの。自分も楽しむのが一番よね」
「そうだよ!そんなリタを観て、皆も楽しくなるんだよ」
緊張ばかりしていたら心から楽しめない。
璃汰に一番幸せになってもらいたいのに。
笑い合ってると、いきなりグイッと二の腕を引かれた。
「うぇっ!?」
強引に立ち上がらせた体を背後から抱きしめられた。
振り向こうとしたら、右肩に未來くんの顎が乗っけられる。
えっ、えっ!
な、何この状況!?
「ちょっと~イチャつかないでくれる~?」
「お前がな!」
「ライライ、嫉妬は見苦しいよ」
「俺らはいいっしょ?海鈴ちゃんは俺の彼女なんだから」
「俺のものって……それはねぇわ。所有物発言はよくねぇぞ」
「ハハッ、クズだな」
「リッキーは人のこと言えない」