かわいい戦争

ちぐはぐ関係





珍しくチャイムが鳴る前に授業が終わっても、今日はまだ下校できない。




「面倒だよね」


「まじだるー」


「しょうがないよ。そういう決まりだもん」


素野(その)さん、えらいねぇ」


「そんなことないよ」




そんなことあるよ、大ありだよ。

なんて真顔で褒めてくるから、ちょっと照れてしまった。


手にはしっかりホウキを持ちながら恥じらう姿は、似合わなすぎて滑稽(コッケイ)だ。自分でもそう思う。



6時間目のあとの掃除の時間。

班ごとに週替わりでやってくるソレは、今週はわたしの班の当番。


クラスとして協力しようという団結力を促進させる目的がある反面、クラスメイトの気持ちは存外憂鬱だ。


真面目に掃除している人のほうが、正直少ない。



「てかさ、素野さんって呼び方よそよそしすぎない?初対面じゃあるまいし」


「い、いやだってさ、同じ班だけどこれまであんまり話したことなかったから……」



班の女の子メンバー3人で、こうやって会話するのは実は初めて。というより、班で行動すること自体、初めてだ。


掃除の時間が回ってきたのも、これが初。



高校に入学してまだ1か月も経っていないのだから当然だ。


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