かわいい戦争
「なんだよ」
「何?」
「2人が言い争ってる間に、そいつ気絶しちゃったけど、いーの?」
「はっ!?」
「うわ、まじか」
ハッとして、2人は一斉にストーカーに視線を送る。
学ラン肩かけ男の言う通り、男性は泡を吹いて失神していた。
「嘘だろ。俺まだ何もしてねーよ?」
「お前が相当ストレスかけたんだろ」
「いやいやまだ序の口だろ。ただちょっと踏んだだけじゃねーか」
「お前の基準はやべぇから。普通と違ぇから。そろそろ自覚したほうがいいぜ?」
低身長の男の子にか、それともストーカーにか。
チッ、と舌打ちをこぼし、足をどかした。
「あー、つまんねー。興ざめだ」
「この男どうするー?」
「どうでもいいよ。捨てておけ」
「そうだな~。雨に打たれりゃ、頭も冷めるし」
え。
本当に放置するんだ。
璃汰にひどいことした人だし、同情はできないけれど、自業自得ってこういうことを言うのかな、なんて考えてしまった。
「りったん、無事?なんともない?」
「着くのも遅ければ、聞くのも遅いわ」
せっかく美人な男の子が心配してくれたのに、それは素っ気ないよ、璃汰。
神雷には素を出せているのは、それほど心を許しているんだろうけど、それとこれとは別。
「璃汰?経緯はどうであれ、助けに来てくれたんだから、ちゃんとお礼言わなくちゃ」
「でも……」
「ね?」