かわいい戦争
「そんなうめーのか」
「俺も食~べよ~っと」
興味の出た天兒さんと一緒に、未來くんも「いっただっきまーす」と割り箸をパキンと割って食べだした。
うちのラーメンの味は、世界一と言っても過言じゃない。
わたしの独断と偏見、プラス家族愛が含まれて、すごく身内に甘い評価なのは百も承知だけどね。
それでも、少なくとも彼らを笑顔にできるくらい美味しい。
それが目に見えてわかるのがとてつもなく嬉しくて、わたしまで笑顔になっちゃう。
ここに来て、初めて、笑えた。
「お邪魔するわよ」
鈍く開かれた出入口から、聞き覚えのある声がした。
振り返ってみれば案の定、
「……海鈴?なんでここにいるのよ」
黒いマスクをつけた、璃汰がいた。
「そのエプロン……まさか出前?」
「当たり」
思いっきり訝しがられてる。
そうだよね。
昨日の今日でコレじゃ、偶然にしては出来すぎてるもんね。
「何の用だ。邪魔すんなら帰れ」
「嫌よ。わざわざ宣伝しに来たんだもの」
宣伝?
何のことか見当もつかない私たちは、そろって頭上に「?」を浮上させる。