かわいい戦争
「……なに笑ってるのよ」
「え?」
「マスクしてたってお見通しよ」
嘘。
わ、わたし、笑ってた?
「仲いいなぁって思って……」
「「はあ?」」
ハモリ、再び。
ほんとに仲いいね、君たち。
「今のどこでそう思ったの?」
「耳おかしーんじゃねぇの?」
「そういうとこだよ」
「「そういうとこってどこ」」
「だからそういうとこ」
勇祐くんの指摘に、2人は意味不明そうに眉をひそめる。
きっと2人は、タイプが同じなんだろうな。
相性がいいというか、相似した性格というか。
「結局利希も行くんだろ、ライブ。なら皆で行こーぜー。海鈴ちゃんも一緒に。ね?」
「へっ!?」
未來くんからの唐突なお誘いに、びっくり。
1人で参戦する気満々だったのですが。
「皆で、ペンライト振る」
「ライブ楽しみ~」
まだ返事していないのに、ひつじくんと未來くんはすっかりその気。
これは拒否できない感じ……?
関わり不可避って、こういうこと?
「仲いいのはどっちよ」
「え?璃汰、何か言った?」
「……別に」
そっぽ向いて黒いマスクを付け直し、帰る準備をする。
さっきまであんなに堂々としていた姿は、もどかしげに輝きを陰らせていた。