かわいい戦争
しょうがない。
わたしが『オンナノコ*ソルジャー』講座をしてあげよう。
わざとらしく「こっほん」と咳払いをした。
「『オンナノコ*ソルジャー』はインディーズレーベルに所属する、7人構成のガールズアイドルグループで、テレビ出演とかはあんまりないんだけど、それでも中高生に人気なんだよ」
「そこのセンターが璃汰なんだ?」
「曲によって変わるけど、ほとんどは璃汰がセンターに立ってるね。グループ内でも一番の人気だし。もちろん璃汰だけじゃなくて、メンバー全員違った魅力があるんだよ」
「ふーん。例えば誰?」
「うーん……最近だと、服部 まろんちゃんかな」
「まろん!?すげー名前だな」
「勇祐くんの名前も十分珍しいと思うけどね。服部まろんって名前は芸名だって、何かの雑誌で話してたよ。まろんちゃんはまだ中学1年生なんだけど、歌がグループ1上手なことで有名なの。アイドル以外にも『tulle』っていうファッション雑誌の専属モデルとしても活躍してるし……」
「熱弁中、悪いけどさ~」
申し訳なさそうに遮ってきた声に、ハッと我に返る。
すぐ横で未來くんが前を指差していた。
「後ろつっかえてるから、とりあえず進もっか~」
あ、入場始まってたんだ。
話に夢中になりすぎてた。
「ははっ、海鈴は本当に『オンナノコ*ソルジャー』が好きなんだな!」
「かわいいねぇ~」
勇祐くんと未來くんのフォローに、余計恥ずかしくなる。