かわいい戦争
マスクを少し上にずらす。
今だけ赤面してるところ全部隠したい……。
「もうちょっと周り見ろよな」
「リッキーにだけは言われたくない」
「あ?俺は常に冷静で、視野も広いだろーが」
「自分の評価、高い」
「あったりめーだろ。逆にどうしたら俺の評価が下がるんだよ」
「……もういい」
ひつじくん……!!
あきらめないで!!
天兒さんの相手をするのは、仲間でも大変そう。
彼らは普段通り過ごしているけれど、周囲の注目は高まるばかり。
ファンは男女の比は同じくらいで、年齢層は若いといっても20・30代、それ以上の人も少なくないため、注目する意味も点でバラバラ。
『オンナノコ*ソルジャー』の説明に耽っていなければ視線に耐えられそうにない。
“かわいい”の独擅場であるはずのこの場が
“かっこいい”に支配されてしまいそうだ。
しかし、会場に入ると、ガラリと変わる。
あらゆるものに注目していた周囲は、『オンナノコ*ソルジャー』の登場だけに期待を高めていくのがわかる。
これが、ライブ。
大好きな推しに「大好き」を送れる、素敵な時間。