かわいい戦争
璃汰からもらったチケットは、すごくいい席だった。
ステージが真正面に見える、アリーナ席。
きっとプレミアもののチケットだ。
「どいつもこいつも、あいつの顔が貼りついたセンスねーうちわ持ってたり、あいつみてーなキモい格好してたり……やべーなここ」
「お前は嫌みしか言えねぇのかよ。少しは歩み寄ってやれよ」
「周りが俺についてくるべきだろ」
「はいきた迷言」
「名言だぁ?この程度、名言でも何でもねーよ。常識だ、ジョーシキ」
「うわ、すっげぇ不愉快な誤解されてる気がする」
さっきひつじくんはあきらめたのに、勇祐くんはちゃんと天兒さんの相手をしてあげるんだね。えらいね。すごいね。さすがだよ。
わたしには到底真似できない。
「カイリー、今日ちょっとメイク違う」
「あ、よく気づいたね。うん、ちょっと変えてみた」
今日はリタが主役のライブだから、メイクはリタに似せずに、かつキラキラ感満載に作ってみた。
汗で崩れちゃわないよう、しっかりと皮脂対策。
保湿たっぷりの素肌に、落ちにくいリキッドタイプのファンデーションをスポンジで叩いてきた。
あとは、ウォータープルーフタイプのコスメで、メイク崩れをさらに防止!
アイシャドウは、今日は鮮やかな色味のオレンジ。
大きめのラメが入っていて、いつもより派手に仕上がった。