かわいい戦争



「キラキラかわいい」


「うんうん、いつものもかわいいけど、今日もすんごくかわい~」



ひつじくんの「かわいい」と、未來くんの「かわい〜」。


どちらも褒めてくれるのに、どうしてこう違って聞こえるのかな。



反応に困っていると、会場内が暗くなっていった。



「あ、始まる……!」



ペンライトの光が星明りのようにちらつき出し、観客が興奮気味に声を上げる。



うっすらと『オンナノコ*ソルジャー』が初めてリリースした曲が流れ始めたかと思えば、音量は徐々に増していき、ついには正面に映像が映し出された。


アルバムをめくるみたいに、リタの歴史を振り返るみたいに、昔の写真やライブ映像が積み重なっていく。



そして、最後に

ドレスを纏ったリタが

画面の向こう側で、微笑む。



メンバーカラーのピンクに染まる綺麗なドレス。


あれはたぶん、会場前にあった看板に写ってた、あのシルエットで着てたドレスだ。



「うおおおおお!!」

「リタちゃあああんんん!!!」

「きゃああああっ!!」



歓声のボルテージも上昇。


ペンライトが熱く光る。



リタを始めに、映像越しに1人1人メンバーを映していくと、最後に入口上にも立てかけられていた『リタ、卒業ライブ』の文字が華やかに現れた。


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