レイジングピース
時計を見ると午前10時だった

「闇子さんひとつ聞いて良いですか?」

「はい 何でしょうか?暁光さん」

「あの絵の事なのですが どうしても引っ掛かる事が有りまして」

「え?引っ掛かる事?」

「はい」

「何でしょうか」

「どうやって湖の中央まで行ったのかなというどうしょうもない疑問なんですが はは」

「なるほどですね」

「はい 教えてくれませんか?」

「わかりました 簡単ですよ ウフフ」

「はあ」

「何故 湖の中央に行けたのかではなくて 初めから湖の中央に居たんです」

「え?」

「産まれた時からです」

「なるほど」

「ね 簡単でしょ 初めから一人ぼっちだったということですね」

「すみません 失礼な事を聞いてしまって」

「良いんですよ 純粋な疑問だと思いますので ウフフ」

「は はい」



すると闇子さんは驚くべき発言をした


「芸術って何だと思います?」

「え?」

「また 駄洒落?ウフフ」

「いえいえ そ そうですね率直にこころの表れだと思います」

「そうなんですね 暁光さんは芸術が分かる人ですね」

「そ そうですか?」

「私はこう想うんです 芸術は哀しさだって」

「哀しさですか?」

「はい だって一人ぼっちで絵を描くのですよ 孤独ですよ」

「なるほど」

「もし私が画家なら描きたい絵が有るんです」

「何でしょうか?」

「人の笑った顔です」

「笑った顔?」

「はい 一番の芸術だと想うから」

「なるほど」

「暁光さんなら どんな絵が描きたいですか?」

「僕ですか?」

「はい」

「そうですね 見たことがない絵が描きたいです はは」

「凄い!!」

「ビックリしたーいきなり大きな声を出さないで下さいよー」

「ゴメンね でも それって才能の骨頂ですよ」

「そうなんですか?」

「そうですよ まるでピカソです」

「なるほど 言われてみるとそんな絵が描きたいです」

「暁光さんが素晴らしい人で良かったわ」

「いえいえ 実際は下手で描けませんよ はは」

「重要なのは上手い下手ではないですよ絵は」

「というと?」

「絵は人のこころです 例え幼稚園児でも芸術は描けるのですよ」

「なるほど」

「ありがとう 暁光さんなら分かってくれそうな気がします」

「何がですか?」

「人のこころです」

「そうですかね はは」

「私そろそろ帰りますね」

「あ はい楽しいひとときをありがとうです」

「ウフフ また電話しますね」

「は はい」


そして闇子さんは帰ってしまった

良い彼女が出来たぞ!やったー と思いつつ僕は二度寝をした
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop