『ニート』ガ『ヒキニート』ニ進化シマシタ!

「やっとこっちを見てくれた。さっきからずっと何か考え込んでたからそろそろお前に声をかけようとしてたんだ。それにしても何考えていたんだ?

「あんたの名前は?サッサと言わないとこれからはロリコンって呼ぶよ?」

ロリコンじゃないからな俺は。ノーマルだから、特殊趣向なんかしてないからな?それにしても自己紹介もまだだったな、忘れてた。俺の名前はセン。歳は19、一応仕事はやっている。職業は…まぁおいおい分かるだろ。」


忘れていたという顔でセンという男は言った。最後の職業のところでセンが怪しく笑ったのは気のせいだったのだろうか。嫌な予感がするから見なかったことにしよう。


それにしても普通は初対面の人間には簡単にでも自己紹介をするのではないのだろうか。いや、この男に普通を求めてはいけないのだった。誘拐や無断で会ったばかりの人間にGPSをつけるという時点で普通とはかけ離れている。


そしてこの男はセンというらしい。センか…どこかで聞いたことがある。それについてはきっと初めて会ったときに名前を聞いていたのだろう。それにしても19歳って…まぁ言われてみればそう見えるかも…


「そう、そっちが自己紹介したなら私もした方がいい?」


一応聞いてみた。おそらくセンは私のことなど知り尽くしているのだろう。これは予想だが絶対あっていると思う。なんたってGPS機能付きの指輪なんかを三歳下の子供に渡すくらいなんだから。やっぱこいつロリコンなんじゃないのだろうか。


「いやしなくていい。俺はお前の事ならなんだって知ってるんだからな。そういうのは時間の無駄だろ。」


予想どうりの回答が返ってきた。が、この男…いや間違えた。センはよくわからないところで合理的なことを言い出した。合理主義者なのだろうか。


合理主義者かぁ 合理的と言えば幼女好きというなのロリコンだけれどもダンディなマフィアボスを思い出すよ。あのキャラ私好きだったなぁ… 


はっ また思考がずれてしまった。
さすが私、どこでどういう状況でも二次元の思考は止まらない。


「ねぇ、あんたさっきここから出れないとか言っていたけどそれってどういうこと?」


今一番聞きたかったことを忘れていた。危ない危ない。
私がそう聞くとセンはうっとりした顔で言った。


「そのまんまの意味だよ。お前はここからもう出ることはできない。ずっとずっとここでお前は生きていくんだよ。あぁ安心して?金とかは俺腐るほどあるからさ。お前が心配することはなぁんにもない。だから安心して俺に囚われろ。」


「なぁぁにが安心してだよっっっ ここから出れなくなったらゲームのイベントとかに行けなくなるじゃん!」


「えぇ 別に行かなくてもいいじゃねぇか。それとも死活問題的なやつか?」


「そうそう…って わすれてたぁぁぁぁぁ!私アンタにコーラかポテチあるか聞こうとしてたんだった!」


そうだ何私忘れてたんだろ。なんか大事なこと忘れる回数多くない?もしかして認知症!?…いや落ち着け私、何思考がぶっ飛んでるんだ。そもそもこの年で認知症になるわけないし!なったらある意味別の意味ですごいことになるわ。


「コーラとポテチ?あぁ 言ったでしょう?お前の事なら何でも知ってるって。もちろんあるよ、昨日コンビニでたくさん買ったからね?」





一瞬感じたセンの口調の違和感も、コーラとポテチを買い占めて私にショックを受けさせた犯人ということに思考が行き頭の中から消えてしまったのであった。


「おぉぉまぁぁえぇぇかぁぁ!」


その日、近所の人たちはどこからかとても怒りの籠った雄叫びを聞いたという。


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