belief is all 『信念がすべてさ』
我が子に対し申し訳なく思ったのか、その後親父は通常の小学生としては破格の小遣いを与えてくれ、その他にも欲しがる物は何でも買い与えてくれた。
 気持ちは解かるが度を越すとお粗末な教育に思える。

「お前、お母さんの処へ行け」
「えっ‥‥‥」
(やくざ者の自分には育てていけない)
そう思ったのか、リタイア宣言だ。

 あっちに行ったり、こっちに行ったり、

(子供だと思って舐めてんじゃないのか?)

 俺は逢うことを頑なに禁じられていた母親の元に、今更引き取られて行く事への心のコントロールがとても出来そうになかった。
「絶対行きたくない」
と申し出たが大人達に上手くやり込まれた。又言いなりだ‥‥。
 母親が嫌いな訳は無い。一番一緒にいてもらいたかった時に一緒にいれず、今度は大人の都合で一緒に暮せと言う。
 俺は大人達の勝手を恨んだ。
 信じる為コントロールしてきた心はあっと言う間に壊された。

「悪い女だから忘れろ」
と、言ったのはそっちじゃないか。

(何だよ、いまさら‥‥)

 初めての転校。何時も学級委員に選ばれる活発な子供だったが、街から来た俺は皆には鼻についたのだろうか、どうにも馴染めず友達がいなくなりやがて孤独を恐がる様になっていった。その様な事と、甘えたかった時にいてくれなかった母親への反抗からか、我がまま振りは増強され親を泣かす迷惑な子供に変っていった。
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