愛されプリンス½






――――


数学の鬼に目をつけられてしまった。ただでさえ数学は苦手だというのに。


これもそれも天王子のせいだ!




5時間目は体育の授業。


みのりと私は体育館シューズを持って体育館に向かう。



サッカーとバスケの選択授業で、私たちはバスケを選択したので体育館。




「なーんかイライラしてる?一花」



体育館の床に座ってシューズに履き替えていると、みのりが突然そんなことを言ってきた。



「え?何で?」


「べっつにー。なんとなくそう思っただけ。最近なんかあったのかなぁって」



最近何かあったのか、と言われれば、特に何もない。



強いて言うなら天王子がウチに夕飯を食べに来なくなったという事くらいだけど、どっちかというと、その状況が異常だっただけだし。


少し前の、天王子に弱味を握られる前の生活に戻っただけ。平和で穏やかで、無駄にイライラしないそんな毎日に。




そう。精神衛生的にはずっといいはず。



あいつに“ほんとうぜーわお前”とか、“一人で少女マンガごっこしてろ”とか、



そんな暴言を吐かれたくらいで根に持つような、そんな心の狭い女ではない。




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