愛されプリンス½
しかもどうやら眠っているらしい。
かすかに寝息が聞こえてくる。
恐る恐る近づく。
目を閉じると長い睫毛が一層目立つ。
薄く開けられた唇が、なんとも居心地の悪い無駄な色気を溢れさせていて。
スッと通った鼻筋に形のいい輪郭。
…ほんと、イケメンなんだよね。
性格とは裏腹に、こいつは嫌味なくらい、いや嫌味を言うのもバカらしくなるくらい、完璧な容姿をしておられる。
………なんかムカつく。
気付けばそこに座り込んで、じっと奴の寝顔を観察していると
「っうわ!」
グイ、と突然私の後頭部にまわった手。そのまま力強く引き寄せられて。
気付いたときにはパッチリ目のあいた天王子の顔がすぐ目の前にあった。
フン、と奴の口角があがる。
「寝込みでも襲う気?変態」
おおお襲う!?私が!?
「バッカじゃないのっ!?」
奴の手を振り払って立ち上がった。
「照れんなよ」
天王子が欠伸混じりにそう言って体を起こす。
「照れる!?誰が!?」
「うっせー、寝起きのとこに喚くんじゃねーよ」
天王子が心底鬱陶しそうにそう言って、怠そうに頭を掻いた。