愛されプリンス½



「て、ていうか何でこんな所で寝てんの!?もう授業始まるよ?」


「あー?眠かったから」


「そういうことじゃなくて」


「最近寝てねぇんだよ、色々忙しくて。
暇人のお前と違ってな」


「悪かったね暇人で」



いちいち一言余計な奴だ。



「で、お前は?何してんの」



天王子がまだどこか眠そうな瞳を私に向ける。



「あ、私はこれから体育で。体育ノートを教室に取りに行こうかと…」


「もう授業始まるけど」


「え」



天王子がそう言うのと同時に、無情にも5時間目開始を告げるチャイムが鳴り響いた。



うっ…嘘でしょぉ!?

最悪だ。天王子の寝顔観察に夢中になって本来の目的を忘れるなんて!



体育館を覗くと、幸いにもまだザビエルは来ていないようだ。



「急いで行っ…わっ!」



クルリと方向転換して走り出そうとしたら、グン、と後ろに手を引っ張られた。

振り向くと、いつの間に立ち上がったのか天王子が私の右手をつかんでいる。




「もうアウトだろ」


「でもっ…」


「お前これからちょっと付き合え」


「は?」


「どうせ遅刻だし。いいよな」



そして機嫌良さそうに口角をあげると、私の手をつかんだまま校舎に入り、グングン廊下を進み始める。




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