愛されプリンス½
「何だァ、そうなのか村田ァ!?」
ザビエルが私を見て怪訝な顔をする。
「はい」
となぜか天王子が答えた。
「というわけで、撮影行くついでに家まで送ってきます」
「おおっ…相変わらずいい男だなァ天王子!惚れちまうぞ!!」
ガッハッハと天王子の肩をバシバシ叩くザビエル。
そして私の前まで来ると、
「よかったなァ、プリンスに送ってもらえるなんてなかなかないぞォ!?」
ガッハッハと、今度は私の肩を叩いた。
一応病人設定(仮)の肩を叩くってどうなんだ!
しかもかなり痛い。
これを毎回笑顔で耐える天王子、やはり只者ではない。
どうやらそれで満足したらしく、ザビエルは「気をつけて帰れよォ~!」と機嫌良く体育館に向かって歩いていった。
はぁ…やっと嵐が過ぎ去った。
「…ったくあのハゲ野郎、いつか残りの毛全部抜いてやる」
猫かぶり笑顔を脱ぎ捨てた天王子が、痛そうに肩を擦りながらそんな物騒なことを言う。
やっぱり痛くないわけではなかったらしい。
「っていうか…何テキトーなこと言ってんの!?」
私今日早退するの!?
詰め寄ると天王子が面倒くさそうにため息をついた。