愛されプリンス½
「リュウさん!玲さん来ました!」
一番はじめに私たちに気づいた男の人が声を張り上げる。
すると、部屋の中央で女の人に向かってカメラを構えていた男の人が振り向いた。
程良く日焼けした肌にクッキリとした顔立ち。
南国風の整った顔立ちをしたその人が、どうやら“リュウさん”というらしい。
年は30代前半、といったところか。
「おー玲、来たか」
「リュウさん、お疲れ様です」
天王子が愛想良くそう言ってリュウさんに向かって歩き出す。
私と手を繋いだままなので、私も必然的にリュウさんの前に引っ張り出されることになった。
「お?玲が女連れなんて珍しいな。彼女?」
私に気付いたリュウさんがニヤニヤしながら天王子に聞く。
かっ…彼女って。私が、コイツの!?
「いいえ全然違いま…痛っ!」
即座に否定したら、ギュッと繋がれていた手に力がこめられた。それこそ握り潰さんばかりの力。
「とんでもない。ただの友達ですよ」
痛がる私をチラリと気にする素振りも見せず、涼し気な笑顔で天王子が答える。
「ホントかよ?ただの友達をスタジオまで連れてくるかねぇ」
「だって言ってたじゃないですか、リュウさん。そろそろ絡みも欲しいって」
ニッコリ笑顔のままの天王子に、驚いたように目を見開くリュウさん。
「おまえ…本気か?」
「はい」
…一体何の話をしてるんだろう。