愛されプリンス½



リュウさんが、そこで改めてその視界に私を映した。


だけど、さっきまでの視線とは全く違う。


驚きと冷静さが入り混じる、品定めするみたいな視線。



…な、なに!?



「…あんなに嫌がってたのにどういう風の吹き回しだ?玲」


「別に。俺も色々やってかないと、この世界は競争が厳しいですから」



リュウさんが私から視線を逸らして天王子を見る。その視線を受け止める天王子は、いつもの猫かぶりモードのニコニコ笑顔。



「…わかった」



リュウさんが静かに頷いて、後ろの方にいたスタッフに何か合図を送る。



すると何人かのスタッフらしき人たちが来て、天王子を部屋の奥へと誘った。



立ち去り際、天王子がフッと私に向かって口角をあげて。



「じゃ、また後で」



ポツンと一人取り残された私。


こ、こんな所に一人残されて一体どうすれば…!?



思わず身を縮こませていると



「なんていうの?名前」



リュウさんが笑顔で聞いてきた。



「あ、えっと、村田一花…です」


「一花ちゃん。可愛い名前だね」


「…ありがとうございます」


「じゃぁ一花ちゃんも準備しよっか?」



…は?




< 111 / 420 >

この作品をシェア

pagetop