愛されプリンス½



「ちょっとぉぉぉ!!!」


突然ゴミ箱の後ろから飛び出してきた私を、プリンスとチャラミルクが一斉に振り返る。


「あんたっ!さっきから黙って聞いてれば一体何様のつもり!?みのりがどんだけ勇気出してあんたにお弁当渡したと思ってんの!?

何がプリンスだよ何がパーフェクトな男だよ!!自惚れんのもいい加減にしろバカーー!!」



そこまで一息で言って、ハッと我に返った。

プリンスがその形の良い目を丸くして私を見ている。


うわ、こんなアホ面してもイケメン…ってそうじゃなくて!!



「わ、わかった!?」



この男の腐った根性に、一言物申してやらないと気が済まない!!



キッとプリンスを睨みつけていると、ポカンとアホ面を晒していたプリンスがフッ…と口元に笑みを浮かべた。

その笑顔はいつもの、パーフェクトな微笑みだ。



「驚いたな。盗み聞き?」

「べっ別にそういうわけじゃ…先にココにいたのは私なんだからね!!」

「そうなんだ」


クスッと品の良い笑みを浮かべるプリンスの声も、いつも通り。



…もしかして先程までのあの光景は幻?幻聴?



そう思わせるほどにプリンスはいつもの“プリンス”で。だけど。



不意にプリンスが立ち上がり、ベンチを飛び越えてストンッ…と私の前に立つ。




「盗み聞きとはいい度胸してんな、ゴミ女」



遥か頭上から私を見下ろすプリンスは、ゾクッとするほど冷たい笑みを浮かべていた。



やっぱり幻でも幻聴でもなかったー!!







< 13 / 420 >

この作品をシェア

pagetop