愛されプリンス½
「ちょっとぉぉぉ!!!」
突然ゴミ箱の後ろから飛び出してきた私を、プリンスとチャラミルクが一斉に振り返る。
「あんたっ!さっきから黙って聞いてれば一体何様のつもり!?みのりがどんだけ勇気出してあんたにお弁当渡したと思ってんの!?
何がプリンスだよ何がパーフェクトな男だよ!!自惚れんのもいい加減にしろバカーー!!」
そこまで一息で言って、ハッと我に返った。
プリンスがその形の良い目を丸くして私を見ている。
うわ、こんなアホ面してもイケメン…ってそうじゃなくて!!
「わ、わかった!?」
この男の腐った根性に、一言物申してやらないと気が済まない!!
キッとプリンスを睨みつけていると、ポカンとアホ面を晒していたプリンスがフッ…と口元に笑みを浮かべた。
その笑顔はいつもの、パーフェクトな微笑みだ。
「驚いたな。盗み聞き?」
「べっ別にそういうわけじゃ…先にココにいたのは私なんだからね!!」
「そうなんだ」
クスッと品の良い笑みを浮かべるプリンスの声も、いつも通り。
…もしかして先程までのあの光景は幻?幻聴?
そう思わせるほどにプリンスはいつもの“プリンス”で。だけど。
不意にプリンスが立ち上がり、ベンチを飛び越えてストンッ…と私の前に立つ。
「盗み聞きとはいい度胸してんな、ゴミ女」
遥か頭上から私を見下ろすプリンスは、ゾクッとするほど冷たい笑みを浮かべていた。
やっぱり幻でも幻聴でもなかったー!!