愛されプリンス½
想定外の事態だ。
まさか私が合コンに誘われるなんて。
「いや、でも私合コンとかしたことないし、うまくできるかどうか…」
「はは、だーいじょうぶっ!俺がフォローするし」
おかしそうに笑った水川が、グンと距離を詰めてきて、グイッと私の肩を抱いた。
その一連の流れがあまりに自然すぎてなされるがままの私。
ふわ、と鼻先を掠めるシトラス系の匂い。
天王子とはまた違う匂いだ。
天王子のはもっと甘くて…
「ね?いいでしょ一花ちゃん?」
水川の声でハッと我に返った。
水川が至近距離から私の顔を悪戯っぽく覗き込んでいる。
「や、でも…」
「そんなに構えないで!ただ楽しいお食事会って考えてればいいから♪」
「お食事会…、っ!」
不意に強く引っ張られた腕。
そのまま肩を抱きこまれ、気付いたら天王子の肩にもたれかかるように座っていた。
な、なに!?
私の肩を抱いたまま、天王子が不機嫌そうな瞳を水川に向ける。
「お前どーいうつもり?」
「なにが?
ただ俺は、一花ちゃんも彼氏欲しいんじゃないかな~って」
彼氏…か。
想像してみる。
彼氏ができた私。
彼氏とデートする私。
彼氏とご飯を食べる私。
彼氏と憧れの花火大会に行く私。
彼氏と大きなクリスマスツリーを見上げる私。
「行きます」
気付いたらそう答えていた。