愛されプリンス½
アイツ、とは…?
天王子の言っている意味がよく分からない。
しかも今は絶対こんなこと話している場合じゃないような気がするのに。
天王子の瞳は、この質問から逃れることを許してくれない。
「な、何言って…」
「お前ああいうインテリメガネ系が好みか」
「は?」
「バカじゃねーの、趣味わる」
「はぁ?あの、さっきから何…」
言ってんの、と言う前に天王子がう、と口を抑えた。
私から手を離すと再び洗面所に手をついて、苦しそうにえずく。
「うっ…」
…なんとかギリギリのところで吐くのはこらえたらしい。
「…やっぱり大丈夫じゃないじゃん…」
天王子の背中に手を伸ばして、擦った。
はぁ…と天王子が深いため息をつく。
「ていうか、何で…来たの?今日。あんなに行かないって言ってたのに…」
今思えば、天王子が行かないって言ってたのは、ただ単に面倒だっただけじゃない。こうなることも分かっていたからなんじゃないだろうか。
なのに何で…
「……だろ」
ボソリと、俯いたまま天王子が何かを呟いた。
「え、なに…」
「お前のせいだろ」