愛されプリンス½
「行くぞ開人」
茫然と立ち尽くす私に蔑んだような笑みを残し、プリンスが歩き始める。
「お~」
チャラミルクこと、開人も立ち上がった。
立ち去り際、私の肩にポンッと手を置き、ニコッと人懐っこそうな笑みで言う。
「俺は覚えたよ、村田一花ちゃん?どんまい♪」
「おい何してんだよ開人」
「今行くって、急かすなよ~」
二人の足音が徐々に遠くなる。
ふ…
ふっっざけんな!!!
「ちょっとぉぉぉ!!!」
私の怒鳴り声にプリンスが振り向いた。その驚くほど小さい顔を
ビシャンッ………!!!
思い切りビンタした。
「ちょっと顔がいいからって調子乗らないでよね!?この性格ドブサイク!!」
…………
「せ、性格…ドブサイクッ……」
ブククとプリンスの隣にいたチャラミルクが、なぜかツボッている。
当のプリンスはというと、私に顔を殴られた状態のまま、ゆっくりと自らの頬を触った。
「お前今……殴った?」
「なっ、殴られるようなこと言うからでしょうがっ!」
「殴った…俺を…」
プリンスが顔を上げて、その驚きに満ちた瞳に私を映した。
怒り狂うかと思われたプリンスは、怒りというより、未知との遭遇を果たしたみたいな顔でなぜか、自分の体をペタペタと触っている。
…ど、どないした…!?