愛されプリンス½
髪の毛を乾かしてリビングに戻ると、天王子はソファに座ってた。
テレビもつけずにボンヤリとしている。
…天王子がボーッとしてるところなんてはじめて見た。
「…ねぇ、どうしたの?」
「っ、は」
私の声にビクッと肩が揺れた。
…驚きすぎでしょ。
「ボンヤリしちゃって。考え事?」
私も隣に腰をおろすと、気まずそうに顔を逸らされた。
「…べっつに。ほっとけよ」
…さりげなく今、距離を広げられた気がする。
「ねぇ今。ちょっと遠くに座り直したでしょ」
「っは?」
「なんか感じ悪くない?」
広げられた距離を詰めてやると、チッ、と忌々しそうな舌打ちが返ってきた。
「お前…ほんっとムカつく女だな」
「は?」
「こっちの気も知らねーで…」
その時また雷が鳴って。
ビク、と体を縮こませた私に、天王子が「…あぁっもう!!」と苛ついたように自分の髪の毛をグシャグシャにする。
「ほんとわけわかんね、お前…」
そしてチラ、と私を見た後、再び顔を逸らして、思い切り肩を引き寄せられた。