愛されプリンス½
…おかしい…おかしすぎる。
裏ではボロクソ言いながらも、普段の玲がこんなテキトーな態度を取るなんてありえない。
その意識の高さはまさに猫かぶりの“プロ”。
絶対に何かある。
そう思った俺は昼休み、女子に引っ張られていきそうな玲を強引に拉致し、屋上まで連れてきた。
「…で、何があったんだよ」
「うん…」
どうやら俺の声も届いていないらしい。
ぼんやりした目で機械的にカツサンドを口に運んでいる。
もう一度言おう。
“カツサンド”を口に運んでいる。
いつもは焼きそばパン一択なのに。
目の前に転がっているビニール袋の中を覗いても、そこに焼きそばパンの姿はない。
「…おい、玲」
「…うん…」
「あれ?あんな所に一花ちゃんが!」
「っ!?」
その名前を出した瞬間、玲の手からカツサンドが転がり落ちた。
慌てたように立ち上がりキョロキョロ辺りを見渡す玲。
「…なーんて。うっそぴょーん」
「…お前」
玲がきつく俺を睨みつけた。
「ふざけんなよ」
うお。すげー怒ってる。