愛されプリンス½
「やーねぇ、パパが帰ってくるのは二ヶ月後よぉ♪」
なぜかルンルンで大きなグラタンを食卓の真ん中に置くお母さん。
「よしっ、完成♪」
「じゃぁ何?誰かの誕生日ってわけでもないよね?」
「ウフフ、実はね―――」
お母さんがご機嫌に口を開いた時だった。
ピンポーン
「あっ、来た来た!」
嬉しそうに玄関の方に駆けていくお母さん。
宅急便…にしては随分嬉しそうな。
もしや、誰かお客さん?お母さんの友達でも来るのかなぁ。
そんなことを考えながら、制服のジャケットを脱いだ時だった。
「お邪魔します」
バタン、と玄関の扉が閉まる音と共に、礼儀正しい男の声。
どこかで聞き覚えがあるような、ないような…。
なぜか、右手が疼く。
…嫌な予感がした。
でもそんな、まさか、そんなはず―――
「あがってあがって玲くん!ご飯できてるから♪」
「わぁ、すごくいい匂いです……ね……」
なぜかお母さんに続いて部屋に入ってきたのは。
「プッ……プリンス…!?」
「…ゴッ……や、む、村田…さん?」
猫かぶりまくりのプリンスだった。
つーか今絶対“ゴミ女”って言おうとしただろ。