愛されプリンス½
「ていうか何で泊まることになったの?そもそも。
親いるんじゃないの?しかも昨日撮影の日じゃん」
「俺だって泊まるつもりなんかなかったわ。
でもあいつの親、昨日からニューヨーク行ってて。
すげー雷とか怖がってたから…」
そっか、そういえば昨夜はけっこうな嵐だった。
ふーん…そっか、雷に怖がる女の子のために一晩…ねぇ。
「やっさしー♡」
「黙れ」
恐ろしく険しい目で睨みつけられた。
でも、ほんと、すごいな。
玲が女の子にそこまで優しくするなんて。
こんな玲を見るのは…
久しぶりだ。
「で、何で押し倒さなかったの?」
「ばっ…お前そればっかだな、もういい!」
玲はイラついたように食べかけのカツサンンドをビニール袋に放り込むと、それを持って立ち上がった。
「教室戻る!」
「ちょー待ってよ~」
まだ全然面白いとこまでいってないじゃんか。
「で、結局玲は何で悩んでるわけ?
まさか、緊張して寝れなくて、寝不足だからってわけじゃないんでしょ?」
「………」
バツが悪そうに振り向いた玲の目の下には、くっきりと黒いクマが浮いていた。