愛されプリンス½
「何でも話してみなよ、お兄さんに♡」
優しくそう諭すと、「誰がお兄さんだキッッモ」とゴキブリを見るような目を向けられた。
だけど素直に再びコンクリの上に座り直し、ボソボソと話し始める。
「…昨日風呂入ってるときに停電したんだけど…」
「ほうほう、二人でお風呂入っているときに停電」
「だっ…二人じゃねぇよ!!アイツが一人で風呂入ってるときに!!」
俺の冗談にいちいち真っ赤になる玲はかなり面白い。
「はいはい、一花ちゃんが一人で、ね。で?」
「で…
この世の終わりみたいなすげー悲鳴が聞こえたから駆け付けたら、あいつが、は、は…裸で風呂から出てきて」
心なしか“裸”の声量だけ物凄く小さかった。
「ほう。それはラッキーサプライズ」
「どこがラッキーだ!いちいち茶化すな!」
「はいはい。で?」
「で…あいつが足滑らせて転んで、咄嗟にそれを受け止めようとしたけど俺も倒れて…」
俺の頭の中で勝手に浮かび上がる再現図。
裸の一花ちゃんと服を着た玲が床の上で重なりあっている…(どっちが上かは知らないけど)。
ほう。なんかマンガみたいなシチュエーションだなぁ。