愛されプリンス½
そのまま俺を見ることなく玲は屋上を出ていった。
「…はぁ」
ひとり取り残された屋上で、俺は飲みかけのいちごミルクのパックを置いて、ゴロンと仰向けに寝転がる。
曇り空。
さっきまで晴れてたはずなのに、重苦しい空だ。
…玲、完全にキレてたな。
バッカじゃねーの。
やっぱ思いっきり引きずってんじゃん。
玲は自分でも分かってないようだけど、少なからず一花ちゃんに惹かれてる。
でもあいつの心は過去に縛られてガチガチだ。
ちょっとやそっとじゃ治せない傷。
だったら―――荒療治しかねーだろ。
俺はポケットに入っていたスマホを取り出し、ラインの友達一覧をスクロールする。
【春野 妃芽】
その名前を画面に表示させて、トークボタンをタップした。