愛されプリンス½






笑顔で私の買い物に付き合ってくれる樹くん。




彼女でもない女子の買い物に付き合うなんて正直かなりダルいんじゃないかと思うけど、樹くんは「一花ちゃんの行きたい店でいいから」と言ってくれる。



優しすぎる…!



私は感動していた。




どっかの誰かさんとは大違いだ。




どっかの誰かさんに無理やり買い物に付き合わされたときは、何件も強引に連れまわされて。



“さっさと歩けノロマ”とか暴言吐かれて。



荷物持ちさせられて!





まぁ“一緒に歩いてる俺が恥ずい”とか言ってワンピース買ってくれたけど…





「一花ちゃん?」



店頭にあったニットを手に取ったまま固まっている私を覗き込む樹くん。




「なにか考え事?」


「あっ…ううん、全然!」




しまった、何で今天王子とのデートのことなんか。



いや、そもそもあれもデートじゃないか!あいつは強引に“デート”って言ってたけど…


だってデートっていうのは付き合ってるとか好きあってるいい感じの男女が行うイベント…




「今誰の事考えてる?」




樹くんが私の手からニットを奪って、棚に戻した。




「…え?」




じ、と樹くんの落ち着いた瞳が私を見据える。




「…や、別に、ごめんね!」




人といるときにボーッと考え事するとか失礼だ。しっかしろ私!






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