愛されプリンス½
……時を遡ること、一週間前。
「おっっはよ〜!一花!」
そうだ、その日のみのりは、いつもに増してハイテンションだった。
「おはよー、みのり。なんかご機嫌だね」
「うん!朝一でコンビニでゲットしてきたからね!これ!」
じゃーん!と得意気にカバンから取り出した一冊の雑誌。
女子高生に大人気のバイブル的雑誌だ。
愛らしいモデルがぐっとくるような笑みを浮かべているページを次々に飛ばし、目当てのページにいきついたらしいみのりは、ホレ!とそれを突きつけてきた。
「見て!今回はすごいんだから!!Reiの特集ページ!」
「…へぇ〜…」
クラスメイトで親友でもある赤江みのりも、“プリンス”の大ファンである一人だ。
「テンション低っ!!言っとくけど専属モデルじゃないのにこの扱い、超絶異例なんだからねっ!?」
そう私に言い放つと、みのりは食い入るようにそのページを読み込み始めた。
うわ〜…数学の授業中の一億倍くらいの集中力だ。
「はぁ〜…でも、ほんと夢みたいだよねぇ。こんな雑誌に載ってるような、こんなイケメンが、私たちと同じ学校なんてさぁ…」
そう夢見がちに言うみのりのセリフを聞くのは、たぶん137回目くらいだ。