愛されプリンス½
「あらやだ…何言ってるのかしらこの子。とりあえず玲くん座って?今ミネストローネ持ってくるわね♡」
「ありがとうございます」
ウキウキとカウンターキッチンに向かうお母さん。
お母さんが私たちから目を離した、ほんの一瞬の隙をついて
「…お前本当何なんだよ」
プリンスが猫かぶりモードより1オクターブ低い声で、私だけに聞こえる声量で言った。
「いやそれはこっちのセリフなんですけど」
私も負けじと低い声を出す。
「あんたが隣に住んでるなんて…信じられない。よりによってこんな変態がお隣さんだなんて…!」
「誰が変態だとゴミ女」
「変態でしょうが!人の胸をあっ、あんな風にも、揉むなんてっ…!」
「揉むほどなかったけどな」
「っはぁぁぁ!?」
「ちょっと一花うるさいわよ、どうしたの?」
お母さんがミネストローネがのったお盆を持ってカウンターから出てきた。
「まったく、いつまでも子供みたいに騒いで困ったものね」
「だっ、だってコイツが…!」
「さぁ玲くん、ミネストローネが温かいうちに食べちゃって?♡」
「はい、いただきます」
ニコッと天使のような笑顔を浮かべて椅子に座るプリンス。
そんなプリンスを目をハートマークにして見つめているお母さん…。
地獄絵図だ。