愛されプリンス½
「樹くん」
まっすぐ樹くんを見る。樹くんも私を見る。
「天王子のことは…
好きじゃない。ていうか、むしろ嫌い」
「…ほんと?」
「本当!」
勢いよく頷くと、樹くんがフッと笑った。
さっきの切なそうな笑顔じゃない。優しくてホッとしたような。
「そっか。じゃぁ…よかった」
「うん!」
力強く頷いてから、はて?と引っかかることがあった。
“よかった”って…何が?
何で私が天王子のことを好きじゃなくて、樹くんが“よかった”なんだろう…。
あ、もしかして樹くんも天王子のことが嫌いとか!?
こんなに穏やかな樹くんに嫌われるなんて天王子、女子からはモテるけど同性には嫌われるタイプなんだろうか。
「そろそろ行こっか」
樹くんが席を立ったので、私も「うん」とそれに並んだ。