愛されプリンス½





「樹くん」



まっすぐ樹くんを見る。樹くんも私を見る。



「天王子のことは…


好きじゃない。ていうか、むしろ嫌い」



「…ほんと?」



「本当!」




勢いよく頷くと、樹くんがフッと笑った。



さっきの切なそうな笑顔じゃない。優しくてホッとしたような。





「そっか。じゃぁ…よかった」



「うん!」




力強く頷いてから、はて?と引っかかることがあった。





“よかった”って…何が?



何で私が天王子のことを好きじゃなくて、樹くんが“よかった”なんだろう…。



あ、もしかして樹くんも天王子のことが嫌いとか!?



こんなに穏やかな樹くんに嫌われるなんて天王子、女子からはモテるけど同性には嫌われるタイプなんだろうか。





「そろそろ行こっか」



樹くんが席を立ったので、私も「うん」とそれに並んだ。






< 201 / 420 >

この作品をシェア

pagetop