愛されプリンス½




フードコートを出て再びブラブラと歩き始める。




「次はどこ見よっか?」



隣を歩く樹くんが聞く。



「どうしよ、お店いっぱいあってなかなか見切れな…」




そのときだった。



女子向けの雑貨屋さんの前で、一人の女の子がチャラそうな男子ふたりに囲まれているのが目に入った。


明らかに友達同士という雰囲気ではない。




女の子、すごく困った顔してる。



男子二人はヘラヘラ笑いながら、強引に女の子の腕を手に取った。




ナンパだ…!しかも無理やり系の。




「あれ」



樹くんも私の視線に気付いたらしく、眉をひそめた。



「ナンパか。しかも女の子すごい困ってんな。お店の人呼「私ちょっと行ってくる!」


「っちょ、一花ちゃん!?」




ずんずんチャラ男二人の背後から近づいて、




「ちょっと!困ってんじゃん!」




強引に女の子との間に割り込むと、「あ?」と物凄くうざったそうに睨みつけられた。






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