愛されプリンス½
「てめっ…鏡なら毎日見てるわ!!」
怒るポイントが微妙にズレているチャラ男その1が、グイッと私の胸倉をつかみあげた。
暴力反対ー!!
「苦し…」
首がしまって、息苦しさに顔をしかめた時だった。
グッと誰かがチャラ男その1の腕をつかみあげた。
解放された私はゲホゲホと咳込む。
見ると、いつもの穏やかな様子からは想像できない険しい顔した樹くんが、チャラ男その1の腕を捻り上げていた。
「痛っ…てめー、何すんだよ!」
意外と弱いチャラ男が泣きそうな声を出す。
「は?何すんだよはこっちのセリフなんだけど。女の子に暴力?バカなのお前?」
「いいから離せよっ痛いから!!」
悲痛なチャラ男その1の叫びを聞いて、それまで茫然としていたチャラ男その2が樹くんにつかみかかる。
このままじゃ樹くんがやられてしまう!
「ちょっと!2対1は卑怯!!」
「あ!?だからオメーは引っ込んでろブス!」
「お前がひっこめジャガイモ!」
私がチャラ男その2と樹くんの間に割り込んで、乱闘状態になったときだった。
「こら!お前ら何してるー!」
ピッピー!という笛の音と、ダッシュで近づいてくる警備員さんの姿。