愛されプリンス½

「い、樹くん？」



彼を追いかけて、後ろから控えめに声をかけると「ん？」と振り向く彼。


もうその頬は赤くない。



「い、いま…」


「惚れ直したって言った」



ご丁寧に教えて下すった。




「……そっか」


「うん」




いやどういう意味って聞けよ私！


樹くんは何事もなかったかのように歩いてるし。






って。私が大袈裟に考えてるだけか。



惚れ直したっていうのはその、恋愛感情としてとかじゃなくて、相手を褒め称える的な？人間として惚れたよ的な？



そういう意味だよね、うん！





やっと意味を理解した私は、小走りで樹くんに追いつき、隣に並ぶ。



よかったー、どういう意味？とか聞かなくて。


あやうく自意識過剰女になるところだったよ。




ホッとしていると、なぜか隣からクスッという笑い声。





「ん？どうしたの樹くん」



「いや…伝わんないなと思ってさ」



「え？何が？」



「…ま、いっか」




樹くんが私を見て、優しく微笑む。




「俺たちまだ会ったばっかだし。これからにするよ」


「…はぁ…？」




…どうしよう。


樹くんの言っていることの意味がまったく理解できない。





だけど、樹くんはなんだか機嫌が良さそうだし。



今日は楽しかったし、女の子も助けたし、樹くんとの友情も深まった気もするし、ま、いっか！




あ、だけど見ず知らずのチャラ男ズにブスって言われたことだけはムカつくわ。