愛されプリンス½
13♡俺に興味ないわけ?
「村田さん。世界史の資料集貸してくれる?」
…幻?
マボロシ〜♡と人差し指を振るオネエの姿が一瞬脳裏をよぎったが、どうやらその幻はみんなにも見えているらしい。
クラス中の視線が私と、私の目の前に立つ男に集まっていた。
それもそのはず。
学園の愛されプリンス、天王子が一般平凡生徒の私を、わざわざご訪問されてそんなことを言い出したのだから。
「…えっと、あの?」
今まで私たちは、学校では特に関わることはしなかった。
天王子だって、こんな私にわざわざ話しかけてくることはなかったし。
それなのに。
急に何!?
そんな色々な意味を込めた「えっと、あの?」だったのに、天王子は、ん?と無敵スマイルで小首を傾げた。
やめろ!
お前のそのスマイルが嘘だということはとっくに分かってる!!