愛されプリンス½
「ほらよ」
偉そうに“私の”世界史の資料集を差し出してくる天王子。in私の部屋。
学校から帰ると、キッチンに立つお母さんに「玲くん来てるわよ~♡」とルンルン気分で報告された。
なんと私の部屋で勝手に待っているらしい。
急いで部屋に向かうと、奴は私のベッドの上にゴロンと寝転がり、勝手に私のマンガを読んでいた。まるでこの部屋の主さながらに。
しかも、人にものを借りておいて、なぜか物凄く偉そうな態度である。
「ちょっと、“ありがとう”くらい言えば!?」
資料集を受け取りながら、人として大切なことを天王子に指導する優しい私。
しかし天王子はなぜかフッと涼しい笑みを浮かべただけ。
「ありがとうはお前のセリフだろ」
「はぁ?」
「俺が借りてやったんだぞ?ファンたちの間で取引させたら一万はくだらないな」
そしてそんな意味不明なことを言っている。
今の言葉を録音して校内放送で流せば、ファンたちには相当な衝撃だろう。