愛されプリンス½
ギュ、と再び背中に腕がまわされる。
でも、さっきよりも力が強いような。
まるで上から抱きすくめるみたいなハグ。
いつもよりも密着した体から、ドク、ドク、という天王子の心臓の音が聞こえる。
「…何で…二回も」
くぐもった声で言うと、ギュ、とまた腕の力が強まった。
「さっきのは、俺の女アレルギー克服のためのハグ。で、今のは…お前をオトすためのハグ」
「…え?」
「言ったろ昨日。お前のことオトすって」
私の肩に顔をうずめている天王子。
喋る度、吐息がかかってくすぐったい。
ゾクリ、とした。
背中にまわされた腕も、密着した体も、天王子の息も。
いつもよりも温度が高い。
ドクリ…と天王子の心臓が忙しなく音をたてている。
いや…違う。これは、どっちの…
心臓?
チュ、と不意に、私の肩口に濡れた感触がした。
なっ……
「何っすんの!?」
渾身の力で天王子の腕の中から逃れた。
天王子はというと、逃げられたのが物凄く意外そうに私を見ている。