愛されプリンス½




「何って…何が」


「今っ!な、なんかしたでしょ!?」


「あー…キスだけど?」


「キス!?!?」



肩にキスって…しかもこんな真昼間の学校で…




なんつーエロティックな!!!




「口じゃなきゃいいんじゃねーの」



ベンチから立ち上がった天王子が私に迫ってくる。



「口じゃなくてもダメなの!」


「何で?」


「何でって…」



近づいてくる天王子に圧されて、私も下がる。



カシャン、と背中がフェンスにぶつかった。



そんな私の逃げ場を完全に失くすかのように、天王子の腕がすかさず、私の横に伸びてくる。




「答えろよ」



天王子の茶色い瞳の中に私が映ってる。それを確認できるくらい、距離が近かった。




「言ったよな俺。お前のことオトすって」


「言ってた、けど…」


「だから答えろ。お前のことは何でも知りたいんだよ」




…意味がわかんない。


自分になびかない私のことが、そんなに気にくわないのだろうか。



こんな私みたいな村人E、学園のプリンスにしたらどうだっていい存在のはずなのに。




ふっと天王子の瞳が伏せられる。



私の顔に影がかかる。



まつげ…長い。



そんなことを思っている間に、距離が…







「玲っ…!」







< 218 / 420 >

この作品をシェア

pagetop