愛されプリンス½
「何って…何が」
「今っ!な、なんかしたでしょ!?」
「あー…キスだけど?」
「キス!?!?」
肩にキスって…しかもこんな真昼間の学校で…
なんつーエロティックな!!!
「口じゃなきゃいいんじゃねーの」
ベンチから立ち上がった天王子が私に迫ってくる。
「口じゃなくてもダメなの!」
「何で?」
「何でって…」
近づいてくる天王子に圧されて、私も下がる。
カシャン、と背中がフェンスにぶつかった。
そんな私の逃げ場を完全に失くすかのように、天王子の腕がすかさず、私の横に伸びてくる。
「答えろよ」
天王子の茶色い瞳の中に私が映ってる。それを確認できるくらい、距離が近かった。
「言ったよな俺。お前のことオトすって」
「言ってた、けど…」
「だから答えろ。お前のことは何でも知りたいんだよ」
…意味がわかんない。
自分になびかない私のことが、そんなに気にくわないのだろうか。
こんな私みたいな村人E、学園のプリンスにしたらどうだっていい存在のはずなのに。
ふっと天王子の瞳が伏せられる。
私の顔に影がかかる。
まつげ…長い。
そんなことを思っている間に、距離が…
「玲っ…!」