愛されプリンス½
ピンポーン。
土鍋で手が塞がっていたので、仕方なく肘でインターホンを押した。だけど中から応答はない。
「……?」
もう一度押す。
少しして、ようやく応答があった。
「……なんだよ」
カメラで私の姿は見えているはず。
インターホンから聞こえた声はなんだか不機嫌そうだ。
「お母さんがお粥作ったから持ってけって。
重いんだけど、早く開けてくんない?」
無言で切れるインターホン。
ドアが開く。天王子はまだ制服のままだった。
「お粥って…何で」
天王子が不思議そうに私が抱える土鍋に目をやった。
「具合悪いんじゃないの?」
「…あー、そういう設定だったっけ」
「設定!?」
「うるさ。いいから入れよ」
そして勝手に部屋の奥に消える天王子。
…中入るの!?