愛されプリンス½
「開人ー?誰この女」
妃芽ちゃんをじっとり睨む水川ガールズ。
「あぁ、昔からの友達。悪いんだけど先教室戻っててくれる?」
「もうっ、何人女作ったら気が済むわけー?」
水川ガールズは文句を言いながらも、大人しくA組の教室へ入っていった。
ヒラヒラとガールズたちに手を振りお見送りする水川…の視線が、私で止まった。
「…って、わ~、一花ちゃんじゃん!」
気付くの遅!
「開人とも仲良いんだね、村田さん」
妃芽ちゃんが少し驚いたように言う。
「いや…仲良いっていうか「仲良いっていうか俺の期待の新星なんだよね♡一花ちゃんは♡」
ゆるりと笑って肩を抱き寄せてきたので、慌ててそれを押し戻した。
「ちょっと、何わけわかんないこと言って…」
「あれ?前言ったでしょ?俺は一花ちゃんに賭けてるって。
玲の女アレルギーだって一花ちゃんにだけはなぜか発動しないみたいだし♡」
ゆるゆると笑う水川とは対照的に、妃芽ちゃんの顔が固まった。
「え…開人、それって」
「で?二人は何で一緒に?」
妃芽ちゃんの言葉を遮って、私と妃芽ちゃんを見比べる水川。
「……私、どうしても玲と話したくて。村田さん、玲と仲良しみたいだったからついてきてもらったの。玲、私が呼んでも来てくれないかもしれないし…」
「なるほどっ、オッケー♡」
水川はグッと親指を突き立てると
「玲~!お客さ~ん!!」
大声で天王子を呼んだ。
「ちょっ…声大きいよ!」
「え?なんかいけない?」
「いけないっていうか、もっとコッソリ…」
「……何か用かな?村田さん」
いつの間に。
天王子が、不気味なまでに完璧な笑顔をたたえて、私を見下ろしていた。