愛されプリンス½
「天王子…?どうしたの?」
そんなに慌てて。…そんなに険しい顔して、怖いんだけど。
チッという小さな舌打ちが聞こえたような気がした。
だけど次の瞬間にはもう、天王子は品の良い猫かぶり笑顔で。
「村田さん。この後予定ある?」
そう聞いてきた。
「はぁ?何でそんなこと」
「いいから」
穏やかな笑みとは裏腹に、天王子の私の腕をつかむ手に力がこもる。
離そうとしたけど、ガッチリつかまれていて離れない。
「…今から樹くんとカフェだけど」
「……へぇ」
天王子が笑顔のまま私から樹くんに視線をうつした。
小さく会釈する樹くん。天王子もそれに応えると、また私に視線をうつして
「俺も行っていい?」
そう聞いてきた。
「…え、何で?」
「俺も、ちょうどカフェ行きたいなと思ってたんだよね」
「あんたとカフェ行ってくれる女子なんて死ぬほどいるでしょ?」
「はは、そんなことないよ」
わざとらしく謙遜する天王子。
「ね?いいでしょ?一花」
「……ん?」
ちょっ、今呼び捨て…!?
「悪いけど」
少し後ろにいた樹くんが、私の隣に並んだ。
「遠慮してくれる?デートだからさ」