愛されプリンス½
「…デート?」
私の腕からようやく手を離した天王子が、対峙するように樹くんに向き合う。笑顔のまま。
「なに、二人ってそういう関係?付き合ってるの?」
「付き合ってないよ」
「だったら…」
「でも、俺はそうなれればいいなと思ってるから」
ピクリと、天王子の口角がひくついた。
「……へぇー…」
「君…天王子くんも、そうなの?」
「は?」
「一花ちゃんのことが好きなの?」
「ちょっと、樹くん何言って…」
なんだか有り得ないことを言っている樹くんを止めようとして、ふと感じた違和感。
…今、樹くん天王子くん“も”って…
「…そんなわけないよ」
天王子がひきつった笑顔で答える。
樹くんがパシッと私の手を取った。
下を見ると、私の右手が樹くんの左手にしっかり握られている。
えっ…
これ、なななな何事…!?
「…おい「玲ーっ!」
天王子が何か言いかけたのを遮るように、校門から駆け寄ってくるのは、妃芽ちゃん。