愛されプリンス½
「玲っ、探したよー!急にどっか走って行っちゃうから…!」
天王子の隣に並んで、ウルウル潤んだ大きな瞳で見上げる妃芽ちゃん。
天王子が気まずそうに顔を逸らした。
「…じゃ、俺たちは行くね」
樹くんが私の右手を握ったまま歩き出す。
必然的に、私もそれを追いかけるようにして歩き出す。
…何で手、繋いでるんだろう…!?
後ろを振り向くと、その場に立ち尽くしたままの天王子と、一生懸命そんな天王子に話しかけている妃芽ちゃんの姿。
「一花ちゃん」
樹くんが歩みを止めないまま、私の名前を呼んだ。
「…ん?」
樹くんを見上げてみたけど、樹くんは前を向いたまま。
「天王子くんが一緒の方がよかった?」
「え…別に、そんなことないよ?」
「そっか」
ホッ、としたように息を吐いて、また黙って歩き続ける樹くん。
……この繋がれた手の意味を…
聞いても、いいのかな。
…えっと。こういう時、一体なんて聞いたら…自意識過剰っぽくなるのは嫌だし…
「…あの、樹くん」
「ん?」
「樹くんて…あの…何て言うか…
わたっ…私のことが好きなの!?」
「…え?」
パタッと足を止めた樹くんが、メガネの奥の目を大きく見開いて私を見る。
……まっ、間違えたー!!