愛されプリンス½
「村田さん、どうしたの急に?まだご飯の途中だけど?」
廊下の突き当り。
クルリと振り向くと、猫かぶりモード続行中のプリンスがニコッと小首を傾げて言った。
うわ、あざとい…あざとすぎる…!
「あのねぇ」
私は腕組みをして、そんなプリンスをきつく睨みつける。
「やめてよね!?今朝お母さんとどんだけ仲良くなったのか知らないけど、うちで毎晩ご飯食べるとか、そういう変なこと言うの!」
「言ってんのは俺じゃなくてテメーのババアだろうが」
うおっ。さっそく本性出してきたよ。
バ、ババアって…さっきまで若くて美人☆とか言ってたくせに…!
かぶっていた猫を脱ぎ捨てたプリンスの冷たい瞳に負けじと、私も奴を睨む目に力をこめる。
「嫌なら断ればいいでしょ!大体あんた、人の手作り料理とか気色悪くて食べられないんじゃなかったの?」
「気色わりーよ。ただ回避不可能な場面に遭遇すれば食べれないこともない」
「回避不可能って…」
「ご近所付き合いは大事だろ?それに」
なぜか一歩、そしてまた一歩、距離を詰めたプリンスが真上から、私を見下ろした。
「ここにはお前がいるし」
…は?