愛されプリンス½
16.5❤︎“らしく”ない
“あんたに比べたら、大大大好き!”
“きっと付き合ったら幸せに…”
…………くっそイライラする。
無意識に力をこめていたらしい。
ノートに押し付けていたシャーペンの芯がボキリと折れた。
…最近の俺は“らしく”ない。
「じゃぁ天王子。分かるか?」
…は、と気付くと、教壇から数学担当の担任が俺を見ていた。
…やっべ、全く話聞いてなかった…
俺はどうにかいつも通りの笑みを浮かべて、わざとゆっくり席を立つ。
…こんなにボケッとするなんて、俺としたことが。
席を立ちながら、隣の席の教科書をチラ見する。
…問3の(2)、ってとこか。
解答を述べると、担任が満足気に頷いた。
「さすが天王子。正解だ」
だよな。
キャーッと色めきたつ女子に余裕ぶって手を振りながら席に着いた。
…あぁ、ダリー。授業中くらい静かにしてらんねーのかよ。