愛されプリンス½
「玲~♪」
授業が終わると、どこか楽しそうな開人が俺の席にやってきた。
「お前、さっき指されたときボーッとしてただろ」
「…別にしてねーよ」
「嘘だ。解答するまでのスピードがいつもより2.5秒くらい遅かったし♪」
「…数えてんじゃねーよ」
気持ちわりーな。
ニヤニヤしている開人。
…嘘をつくのも、隠すのも、得意な方だ。
だけど開人にはそれが通じたことがない。
周りの女子が遠巻きに俺たちを見つめている。
暗黙の了解なのか、俺と開人が話しているときは女子たちは近づいてこようとしない。
「最近ずっと玲そんな感じだよな」
「何がだよ」
「ボーッとしてるっていうか、ボケッとしてるっていうか、アホ丸出しっていうか」
「殺すぞ」
ちなみに全ての会話を俺はいつも通りの完璧な笑顔で行っている。
…だけど。
「玲ーっ!」
俺を呼ぶ高い声に、頬がひきつるのを感じる。
…この声の前でだけは、うまく笑顔が作れない。