愛されプリンス½
「お姫様のお呼びだぜ?」
わざとらしくそう言う開人を殴りたい。
最近、何の前触れもなく突然転入してきた妃芽。
…中学の同級生で、一応俺の…元カノだ。ちなみに決していい別れ方はしていない。
…一体なんで、急に…
「妃芽もめげないよなぁ、休み時間の度、玲のとこ通ってさ」
感心したような口ぶりの開人。
「よっぽど好きなんだね、玲のこと♪」
「……ぶっ飛ばすぞ開人」
思ったよりも低い声が出た。眉根がギュッと寄るのが分かる。
「俺と妃芽のこと…お前が一番よく知ってんだろ」
「知ってるよ?だから頼んだんだよ、妃芽に。玲ともう一度会ってほしいって」
「……は?」
…頼んだ?妃芽に?
「…開人、お前…」
「あ、転校しろとは言ってないよさすがに。そこは妃芽の独断…」
「ふざけんなよ!?」
グイッと胸倉をつかんで引き寄せた。
だけど相変わらずニヤけたままの開人。
「ふざけてないよ。いたってマジメ」
「面白がってんじゃねーよ」
「面白がってないよ、むしろ」
スッと開人の顔から笑みが消えた。
「イラついてんだけど?」